ここでは、DC/DCシミュレーションの基本的な使い方および基本特性の確認方法を説明します。
ここで示す方法でシミュレーションおよびシミュレーション結果を確認することで、”実機作成前の特性予想”や ”最適なIC選定”、 ”実機評価結果の妥当性確認” 等に活用して頂けます。
1. 基本的な使い方
入力項目にシミュレーションをしたい電源仕様を入力するだけで、シミュレーション可能です。
電源仕様を変更すると、自動的にシミュレーション結果が出力され、確認したい特性に応じてタブを選択することで希望の特性を確認することができます。
Step1. 製品の選択
Step2. 発振周波数の選択
Step3. 動作モードの選択
Step4. 電源仕様の入力 (Vin/Vout/Iout/周辺部品定数 etc)
Step5. シミュレーション結果の確認
2. 特性の確認方法:Summaryタブ
最大出力電流
電流制限・ジャンクション温度・最大Duty等で制限される最大出力電流です。
昇圧DC/DCでは、Vin/Voutにより最大出力電流が大きく変わるため、シミュレーションでの最大出力電流の確認は重要です。ただしシミュレーション結果はICのTYP特性に基づく値であるため、ワースト条件の最大出力電流はシミュレーション値よりも小さくなります。(ワースト値を確認したい場合は、個別にお問合せ下さい。)
Summary
指定のIoutでの各種特性を、まとめたものです。
シミュレーション条件での、“効率”, ”損失”, “ジャンクション温度”, “入力電流”, “コイル電流”, “スイッチング周波数” 等の特性を確認可能です。
3. 特性の確認方法:Waveformタブ
コイル電流
指定のIoutでのコイル電流波形を確認できます。
主にコイル電流のピーク電流やボトム電流を確認します。
スイッチングノード (Lx波形)
指定のIoutでのスイッチングノード(Lx波形)を確認できます。
主にオン時間/オフ時間の確認や、制御方式(PWM制御 or PFM制御)や動作モード(連続モード or 非連続モード)の判断に使います。 また本シミュレーションでは非連続モード時のリンギング波形を計算できないため、リンギング無しでの波形を表示しています。
4. 特性の確認方法:Efficiency / Tj / Dutyタブ
効率 / ジャンクション温度 / Duty
DC/DCの主要特性である、効率を確認できます。
推定ジャンクション温度も表示されるため、ジャンクション温度が仕様内であることや適切なマージンを確保できているかを確認できます。
またDutyも確認することができ、Max Duty制限等の制限を受けるかどうかの確認に活用できます。
損失割合
DC/DCで、損失がどこで発生しているかの割合を示しています。
損失が発生している箇所が、ICなのか周辺部品なのか、導通損失なのかスイッチング損失なのかを確認できます。損失割合を把握することで、周辺部品や定数の変更等により、効率の改善見込みがあるかどうかを判断することができます。
5. 特性の確認方法:Ripple Voltage / Vin Voltageタブ
リップル電圧
スイッチング動作時に発生する、出力側のリップル電圧です。
本シミュレーションでは、スイッチング周波数周期で発生するリップル電圧を出力コンデンサの実効容量値とESRから算出した近似値を表示しています。
Vin端子電圧
入力端子電圧です。
蓄電デバイス(電池/EDLC etc)の内部インピーダンスや入力側に挿入されたフェライトビーズ・ヒューズ等の抵抗成分を考慮する場合に Rvinに抵抗値を入力します。この抵抗成分と入力電圧によるVin端子電圧の低下度合いを確認できます。
入力項目である”Rvin” が0Ωであれば、Vin端子電圧=Vinとなります。
6. 特性の確認方法:Coil Current / Input Currentタブ
コイル電流
各出力電流での、コイル電流のピーク値と振幅です。
入力電流
各出力電流での、入力電流です。
7. 特性の確認方法:Switching frequencyタブ
スイッチング周波数
各出力電流での、スイッチング周波数です。
主に PFM時のスイッチング周波数の目安や、PWM制御とPFM制御の切替電流の判別に活用します。
オンタイム / オフタイム
FET Q1 に導通している時間をオンタイム、FET Q2 or SBDの導通期間をオフタイムとして表示します。