一般的な電圧レギュレータや降圧DC/DCでは、ICがスタンバイ時(動作停止時)の出力電圧は0Vまで低下します。
昇圧DC/DCコンバータでは、スタンバイ時(動作停止時)の出力電圧はICにより異なります。大きく分けて4つの昇圧DC/DCおよびタイプ・機能に分類されます。
1. 非同期整流方式
ダイオードを使う一般的な昇圧DC/DCです。
ダイオードを使うため、スタンバイ時に入力側と出力側を遮断できず、ダイオードを介して導通します。
またドライバ搭載の昇圧DC/DCでも、High Side側のドライバの寄生ダイオード制御を行っていない場合は、非同期整流方式の昇圧DC/DCと同様の動作になります。
2. 負荷切断機能 (Low Side/High SideドライバFET内蔵品)
スタンバイ時に出力電圧が0Vとなるように、High Side側のドライバFETを制御します。
(ドライバFET : OFF, 寄生ダイオード : アノードVout、カソードLx)
負荷切断機能により、スタンバイ時に入力側と出力側を遮断します。これにより出力電圧が0Vまで低下し、システムの誤動作防止や消費電力低減が可能です。
3. バイパス機能 (Low Side/High SideドライバFET内蔵品)
スタンバイ時に出力が入力と導通するように、High Side側のドライバFETを ONします。
バイパス機能により、スタンバイ時に入力電圧を出力側にスルーすることが可能です。
この機能を活用することで、MCUのスリープ状態等では スタンバイ状態にすることでシステム側にバッテリー電圧を供給。高い供給電圧が必要なRF/高速動作時には 昇圧動作を行うことで、システム側に3.3V等の電圧を供給することが可能です。
この電圧切替により、システム全体の消費電力低減が可能です。
4. Vout “OR” タイプ (Low Side/High SideドライバFET内蔵品)
出力側に外部電源印加を行う、OR接続可能な Vout“OR” タイプです。
Vout “OR” タイプでは昇圧動作とスタンバイ時の両方で、入力電圧と出力電圧の監視を行います。
入力電圧と出力電圧のどちらが高いか判断し、High SideドライバFETの寄生ダイオードの極性を制御し、寄生ダイオードを介しての逆流を防止しています。