ここでは電圧レギュレータの電流制限特性(VOUT vs IOUT)の方式について説明します。
またスイッチング電源(DC/DCやAC/DC)等にも同様の電流制限機能が採用されています。
電流制限の分類
電圧レギュレータに内蔵されている電流制限は、4つの主要タイプに分類できます。
A) 垂下型 電流制限 ⇒ フォールドバック電流制限
B) フォールドバック電流制限のみ
C) 垂下型 電流制限⇒ 垂下型 電流制限
D) フォールドバック電流制限 ⇒ 垂下型 電流制限
例えば「タイプA」では、最初に垂下型電流制限が動作し、続いてフォールドバック電流制限が動作するので、「A) 垂下型 電流制限 ⇒ フォールドバック電流制限」という表現になっています。
電流制限の経緯と特長
A) 垂下型 電流制限 ⇒ フォールドバック電流制限
従来の電圧レギュレータ(XC6204、XC6219など)はタイプA(垂下型⇒フォールドバック)が採用されていました。これはフォールドバック電流制限で十分な精度が得られないことから、垂下型電流制限が追加されたためです。
B) フォールドバック電流制限のみ
その後、フォールドバック電流制限のみで電流制限値を高精度に制御できるようになりました。
これにより、過電流を検出できるフォールドバック電流制限を採用したタイプB(フォールドバックのみ)の電圧レギュレータを製品化しました。
しかしながらフォールドバック電流制限では、起動前の出力電圧がわずかにマイナスになった場合に、出力電圧を起動できなくなる可能性があります。
これは出力電圧がマイナスの場合に、電圧レギュレータが供給できる電流量が0mAとなることで、出力側に電流供給しない状態で、回路が釣り合ってしまうことが原因です。
C) 垂下型 電流制限⇒ 垂下型 電流制限
フォールドバック電流制限の起動問題は、短絡時に垂下型電流制限を採用した電圧レギュレータで回避できます。これが、タイプC(垂下型⇒垂下型)の電圧レギュレータ(XC6223、XC6503など)が導入された経緯です。
また垂下型電流制限は電流制限値の制御性に優れています。
タイプCの電圧レギュレータでは、出力電圧が1V以上では電流制限値が一定であるため、タイプAおよびBよりも発熱量が大きく、電流制限時のジャンクション温度上昇が問題となります。
またジャンクション温度上昇対策として、サーマルシャットダウン機能を内蔵することで、ジャンクション温度上昇の問題を対策することも可能です。
D) フォールドバック電流制限 ⇒ 垂下型 電流制限
タイプC(垂下型⇒垂下型)の問題であった電流制限時のジャンクション温度上昇ですが、タイプD(フォールドバック⇒垂下型) の電流制限を採用することで、電流制限時の発熱量をタイプCより小さくすることができます。
電圧レギュレータ 電流制限タイプ一覧
TYPE A (垂下型⇒フォールドバック) | TYPE B (フォールドバックのみ) | TYPE C (垂下型⇒垂下型) | TYPE D (フォールドバック⇒垂下型) |
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XC6231 XC6224 XC6220 XC6219 XC6213 XC6210 XC6209 XC6206 XC6205 XC6204 XC6504 XC6601 | XC6242 XC6241 XC6240 XC6227 XC6225 XC6222 XC6221 XC6218 XC6217 XC6216 XC6215 XC6214 XC6206 XC6506 XC6501 XC6604 XC6603 XC6602 XC6706 XC6705 XC6702 XC6701 XC6902 XC6901 | XC6230 XC6229 XC6228 XC6223 XC6505 | XC6233 XC6505 |